2009年1月10日土曜日

ワークシェアリング

毎日のように世界規模の人員削減を語る新聞。
ヨーロッパでは失業率が8%に迫っているそうな。
日本もジワジワと失業率が上がってきている。

アメリカは戦前の大恐慌時には実に25%まであがったらしい。つまり4人に1人は仕事についてないってこと、なんか想像がつきません。
でも、今の経済危機が百年に一度の規模なら近いところまで行くのだろう。そういうアメリカ経済にぶら下がってる日本経済も同様の状況になる可能性は大きい。

非正規雇用の削減ばっかりが注目を浴びているけど、もうそろそろ正社員も安穏としてられなくなるのではないだろうか。


そんな折、にわかにワークシェアリングが話題に上ってきた。
雇用維持の切り札的に考えられているけど、これ、ほんとに日本で有効だろうか。

第一に、そもそもサービス残業には賃金が支払ってなかったんだから、これまでの残業分を分け合っても経営側から見れば単純に人件費増加。ただでさえ人を増やせば社会保険料などの負担が増えるのに。

次に、与えられた仕事は中途半端に投げ出したくない性格の人が多い日本人に対して、仕事を分割させるのは困難が伴う。無理してワークシェアリングをすると、一つの仕事に対して複数人が介在するので、サービスや商品の質が落ちるのではないか。日本企業の強みである高品質が保てないのではないか。少なくとも多くの人がそういう懸念を抱いているのではないか。

日本でこれまでワークシェアリングが唱えられたにもかかわらず普及しなかったのはこうした背景があるからだと思う。ワークシェアリングより日本に合ったやり方を編み出さないといけないのではないだろうか。


第一の問題を解決するには、サービス残業をやめることが先決。サービス残業をやめることで真の労務費が見えてくる。そこではじめて、一人当たりの負荷を減らして雇用を維持したほうがいいかどうかの議論ができるようになる。
さらに企業に雇用を維持させるためには、人員の数と社会保険料などの福利費を比例させない政策が必要だ。例えば、厚生年金や雇用保険はすべて税金で賄う(その分、法人税から徴収する)など。

第二の問題に対してはどうするか。文化的な側面があるのですぐに解決するのは難しい。
欧州で普及したワークシェアリングは水平分業型。付加価値を生む一連の作業を細切れにして違う人間が流れ作業にしていく「ベルトコンベア式」のイメージ。
日本は垂直統合型で業務領域を分けていったらいいと思う。全工程に同じ人間が携わる。しかし、同じような仕事でも、似ているからという理由では同じ人間が携わらないようにする。いわば「屋台式」。一人一人が熟練するまでには時間がかかるが、完成した付加価値はクオリティが高い。


いつもまでもただ外国を真似てばかりではこの危機は脱せない。日本にはオリジナリティが必要だ。

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