2009年4月19日日曜日

新卒一括採用のたそがれ

今年度の新卒君が新人研修を終えて職場に配属されてきた。なんともフレッシュさに欠けたアキバ系な子ではあるが、今後の活躍に期待したい。

さて、日本ではおなじみのこの新卒一括採用だが、実は海外ではほとんど見られない日本独特の慣習である。なんでも団塊世代の集団就職ころから確立した採用システムらしい。このシステムには、年齢構成を整えたり、企業カラーに染まってない人間を確保するメリットがある。

この採用システムに、近年になって弊害が出てきた。

不況になると大企業が大きく新卒採用を絞り込む。いわゆる就職氷河期が訪れて、その期間の新卒者の多くが就職浪人となってしまう。
景気が回復してきたら、その人たちが就職しやすくなるかというと、そうではない。大企業は景気回復期の新卒者を優先的に採用し、氷河期当時の新卒者は無条件に後回しにされる。また、一時しのぎにフリーターや派遣社員になった人たちには常に非正社員の経歴がつきまとい、回復期の新卒者と同じ土俵には立てないのである。

失われた10年の間の新卒者は、今30代。本来なら家庭を持っていて、日本経済の中心的役割を果たす世代だが、経済的に苦しく結婚もままならない人たちが多いのは、この新卒採用システムに由来する部分が大きいと思う。

卒業年度の景況で就職機会が変化するのは平等じゃない。企業側にとっても、優秀な人材を取り逃がしかねないリスクがある。

もう新卒一括採用は捨てたらどうか。システムの確立から40年以上も立ち、そろそろ見直す頃合だと思う。
そもそも新卒採用のメリットもだいぶ薄れてきた。バブル崩壊後、大企業が行ったリストラによって社員の忠誠心は薄れ、離職率が高まった。なおかつ、その年の景況で採用人数の増減を行っているおかげで、新卒採用を行っていても年齢構成はバランスが悪くなっている。それを結局中途採用で補っているのだ。

中途だろうが新卒だろうが同じ土俵に立てるように工夫すべきだろう。

例えば、採用時に年齢や卒業年、入社年は不問とする。経歴は在籍年数だけを問うようにしたらいい。採用側は絞込みが難しくなるだろうが、逆に応募者の本質を見抜くスキルがつくのではないだろうか。

新卒者と中途採用者を同じ土俵に並べるために、ある一定規模以上の企業にはインターンシップを義務づける。もしくはインターンの受け入れ企業に税優遇や政府から助成金を与える。新卒でなくても、ハローワーク等からの研修生受け入れも義務化したらどうか。

小企業が大企業をまねて新卒採用を行うのは愚の骨頂。もともと年齢構成もバラバラ、中途採用者が多いのだから、全く新卒採用システムのメリットは得られないからだ。中小企業ほど独自の採用システムを構築して、優秀な人材を確保するように努めるべきだろう。

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