2008年11月19日水曜日

回顧録:新卒編(1)

景気後退が鮮明になり、いよいよもって多くの企業が新卒採用すらも絞りはじめたようである。去年までの売手市場もどこ吹く風、金融や不動産業界では内定取消しまで起こるようになった。

思えば俺が新卒の就活をした頃もそうだった。その年、新卒の就職率が谷底だったのは就職後に知ったことである。

たしかその少し前に派遣業法の改正かなんかがあって、一般の職場にも「派遣社員」という新しい雇用形態が生まれた。人件費抑制に躍起になっていた大企業がこぞってそれに飛びつき、派遣業界がたいそう盛り上がった。
リストラの嵐が吹き荒れていた当時で、新卒採用が目立って旺盛だったのは派遣業界ぐらいだったろう。


大学の同期生たちも例に漏れず、就活に苦戦していた。4年生の夏休みを過ぎても進路が決まらない奴は珍しくなかった。成績が上位の者は早々と就職を諦め、大学院に進学を決めて2年後に期待する人も多かったように思う。

そういった逃げ道のない他の人達には、切羽詰まって派遣社員として就職を決めた者が多数、フリーランスとして夢を追うと決めた者も少なからずいた。

就業意識が急激に低下したために、この年代は向上心がないとか勝手気ままだとか世間に誤解を与えた。
その誤解が、永らくワーキングプアの実態が理解されない原因にもなった。

派遣社員として内定をもらった人にも災厄が訪れた。調子に乗ってパカパカ内定を出した派遣会社が経営難に陥って、大量に内定取消しを出したのだ。


景気回復と団塊世代の大量退職時代を迎えて、年代構成のアンバランスさが成長の足かせになると気づいた今は、以前ほど極端に採用を絞ることはないという。
しかし就職できない新卒が増えるのは確実で、有効な若年失業者対策が打たれない限りは、今後景気が回復しても中途で採用されるチャンスは低いだろう。

またワーキングプアを大量に生むことにならないか、今から心配だ。

2 件のコメント:

くまぬき さんのコメント...

なんか、新聞のコラムみたいなことを書くのね。
実際「夢をもって頑張れ!」って若い人にいったって、今の現状では難しいだろうな。
政治的な事は、私はコメントできないけど、大人が、楽しそうに仕事して、楽しそうに家庭生活を営めば、若い人の不安が少しは解消するかもしれないし、会社的にも、家庭的にもハッピーになるんだろうと思う。
(時には)嘘でも笑顔!!
そうすれば、脳も活性するしね。

えふ さんのコメント...

> (時には)嘘でも笑顔!!

いいコト言うね!

貧乏・逆境を楽しむことができきれば、そりゃもう「いずくんぞ君主為らざるか」だ。
なかなか自分のような小人には難しい芸当だけど、ぜひ心がけたいねぇ。